ダイニチの石油ファンヒーターを修理

今まで何台の石油ファンヒーターを捨ててきただろうか。ある日突然着かなくなったり、灯油臭くなったり。石油ファンヒーターは暖かくて便利だけど故障するとどうにもならない。そんな経験は多くの人があるはず。
先日、実家で使っている石油ファンヒーター(ダイニチ KF-N30ES)が使えなくなったから見てほしいと頼まれた。面倒そうに思える修理もやってみると簡単に直った。なので同じような状況の人の参考にでもなれば幸い。

↑さっそく点火してみると灯油は入っているのにE02のエラーで着かない。これは「燃料入っていません」が主な理由らしい。スイッチを入れるとカチカチ言って火花が出るので点火はしようとしている。

↑背面のフィルター掃除は当然として、次にやるのが燃料フィルター掃除。これはさっと持ち上げるだけ。洗剤で洗ってドライヤーで乾かして終了。

↑次に燃料の入れ替え。ホームセンターでスポイト(¥298)を買って来て、燃料を抜いて捨てる。原因ややり方についてはこのページ水混入による動作不良について(513KB) PDF不良灯油使用による動作不良について(593KB)PDFを見るとわかる。

↑燃料の入れ替えだけでは直らないので本体を開けてみる。両サイドのネジ2本ずつと裏側上部のネジ1本で前面パネルは外せる。

↑さらにネジ2本と左右のツメを曲げると燃焼室前の板が外せる。

↑この状態で着火してみるとどういう状態かはっきりわかる。故障の状態を分類すると、
①火花が出ない
②火花が出るが着火しない
(又はほんの少しだけ着火するがすぐ消える)
③着火した後にエラーが出てすぐ消える
などが考えられる。自分の場合は②だったけど、①の時は左側の点火装置の棒を磨いたり間隔を調整する。それでもダメなら部品交換。③の時はシリコーンによる動作不良が怪しい。シリコーンによる動作不良はこのページシリコーンによる動作不良について(591KB)PDFに記載されている。上の写真のフレームロッド(右側の棒)も白くなっている(白化)ので今回の原因ではないけれど綺麗にしておく。

↑白くなっている棒(フレームロッド)を紙ヤスリで磨く。

↑着火しない場合や着火しても炎が小さかったり安定しない時は気化器があやしい。気化器は写真の黄色い部分。左の赤丸のネジと右の赤丸のパイプネジを外せばユニットで取り外せる。燃料パイプは差し込まれているだけなので引っ張れば外れるのと配線はカプラーを外せばそっくり取り出せる。見た目は大変そうだけど意外と簡単。おそらくこの部分は故障が多いから取り外しも簡単に設計されていると思われる。

↑気化器を分解したところ。キャンプで使うガソリンバーナーと構造は似ている。針先のような棒(ニードル)で針の穴のような小さな穴(燃料噴射口)を開け閉めして気化した燃料を噴射させるしくみ。

↑ニードルにカーボンのようなゴミが付いているので、これが原因で詰まりを発生させている様子。

↑燃料噴射口の方もキャブクリーナーでカーボンを落とす。クリーナーを吹くと黒い液がボタボタ落ちる。

↑ニードルは紙ヤスリでカーボンを落とした。先端部分は曲げないように注意が必要。

↑綺麗にした気化器を組み込んで点火してみると、壊れていたのが嘘のように動く。炎の色も美しい。あとは元通り燃焼室カバーと外カバーを付けて終了。

思ったのは、今まで何台も捨ててきた石油ファンヒーターは直せば良かった。という事。経験から思い出すと石油ファンヒーターはどこのメーカーのものでもだいたい5年から10年で壊れていた気がする。今回、構造と詰まりを見て思うのは「あーこれならそのうち詰まるかな」という事。高価なファンヒーターでも最も大事な部分である燃料噴射口は針の穴ほどの小さな穴。ここが詰まれば当然使えない。何年もの間、何十何百リットルもの灯油が気化すれば不純物でカーボンが溜まるのもわかる。もしかしたら最初から10年程度で使えなくなるような設計なのかな。なんて思ったそんな今日この頃。