本「砂の器」(松本清張)の感想

今年(2011)ドラマでやった「砂の器」を観た。すごく面白かったけど、原作とまるで違う部分があってすごく残念だった。本はずっと前に読んでいて、内容ほとんど覚えていなかったが、少しだけ覚えている「核」の部分がドラマではまったく違う表現になっていたのにはびっくり。簡単に書くとハンセン病(らい病)患者の部分がまったく出てこなくて、殺人の疑いを持たれた人という表現。物語の筋に関係ない部分ならそれもいいけど、この部分は結構大事な部分だったと思うだけに残念。

ハンセン病に限らず、エタやサンカや部落など多くの差別問題が過去にあったわけで、近年はどうもこういう問題が本・ドラマ・映画などから削除される傾向があるように思う。たしかに無秩序にこういう表現を多発すると差別を助長する恐れもあるから危険なのだが、だからといってこのドラマのようにまるで書き換えるというのはやりすぎだと思う。批判を恐れて表現を変えてしまっては、表現自体が無意味になってしまう気がしてならない。例えば時代劇で座頭市というのがあるが、もしこれを目が見えない主役は差別的だとして目が見えるという設定に変えてしまったら意味のないものになってしまうだろう。そんな訳で、今回の「砂の器」は残念だったけど、この小説が次に映画かドラマになる時は原作のままに作って欲しいと思う。そんな今日この頃。

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日本を代表する小説家、松本清張の代表作の1つ、砂の器。時間があればぜひ読んでおきたい。