本「蟹工船」(小林多喜二)の感想



数年前に流行った際に自分も読んだ。その後の数年、職場などで雑談中にこの本の話題も出てくるけど、意外と「知ってるけど読んでない」という人が多いのにはびっくり。そういう人の話しを聞くと「暗い話しでしょ」とか「本を読む習慣がない」とか「昔の話しでしょ」などなど。たしかに昔の文章で読みにくいところもあるけど、1日かからずに読みきってしまう本なので、興味が少しでもあったらぜひ読んでみてほしい。

この本は実際にあった事件や事実を元に書かれていて、これを読むと戦前の貧しい時代、労働者がいかに搾取されてきたかが良くわかる。さらにこの内容は現代にも通じる所が多くて、80年前と今とでどう変わりどう変わっていないのかずいぶん考えさせられる。

この本は2009年に映画化されたようだが、この映画はすこぶる評判が悪い。なので自分は見ていない。こういう文学作品はやっぱり読むのが一番だと思う。あとマンガ化もされているが、これも今ひとつ。マンガだとずいぶん割愛というか内容が薄くなってしまう。

よくよく考えてみると、豊かな生活とは貴族の白い手袋であり、そこには自分は家事や労働はしないとアピールすることが優越感であり成功者である悲しい現実。白い手袋は多くの労働者からの搾取により成り立つもので、搾取を善とする社会はいずれ1%と99%を作る。富の象徴は格差の象徴、成熟した近代国家こそ原始的な格差社会。いずれ成功者がありあまる富を使い、多くの労働者を雇い自分のピラミッドを作るのでないか。そんなことをぼんやり考えた今日この頃。

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また、この作品は作者没後50年経過により著作権が失効しているので、下記サイトからダウンロードして読むこともできる。

図書カード:蟹工船