映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実」の感想

観た感想、ちょっと不満。何が不満かと言うと、このタイトル「~70年目の真実」とあるが、特に何も新しい真実は無いこと。この映画、太平洋戦争の事をあまりよく知らない人が観たら歴史をあまりに「はしょりすぎ」て何のことだかさっぱりわからない映画になるだろうし、そこそこ知ってる人が観たら有名なエピソードのつまみ食いのような映画に感じると思う。一番不満に思うのはそのタイトルに「真実」と付けているのに登場する新聞社の名前は架空の「東京日報」。え、朝日新聞でしょ。何でタイトルに「真実」と付けて、なおかつ登場人物は実名なのに新聞社が架空の名前なんだろ。って思ったのは自分だけではないはず。

話を新聞社限定にすると、当時の新聞は戦争を助長すような記事や、負けていると分かっていても大本営発表に従いウソの記事を書いていた訳で、こういった問題に対して「責任」は無いのかと。仮に「罪」は無いとしても「反省すべき点」は大いにあるはず。しかしそのことを他のメディアが追求すると新聞社に訴えられることもあるだろうし、仮に訴えられなかったとしても映画の宣伝に協力してもらいないことが予想できる。だから架空の新聞社名になったのかな。なーんて考えながらこの映画を観ていた。

思うのは当時の新聞社に限らず、多くの組織はその組織自身を維持延命することが第一目標になってしまって、本来の役割を果たさなかったり、道徳的に悪の方向に行ってしまっても組織のためには仕方がないという風潮が世間にはあるんじゃないかな。ってこと。この新聞社で言えば、組織を維持するためには大本営に逆らえないし、新聞を多く売り利益を上げるために人々が高揚するような記事も書かなきゃ。と思ったんじゃないかな。ここまで書いてふと思うのは最近の東京電力やマスコミも同じようなことがあると思う。組織自体の目的や善悪よりも、組織の維持や利益の為に行動がゆがめられてるんじゃないかな。

ちなみに上の写真は「NHKスペシャル 太平洋戦争」。今はこのシリーズをネットで観れるんだからすごい。この映画や太平洋戦争に興味がある人はぜひ観ると良い。昔はよくテレビでこれをやったもので、VHSのビデオにいちいち録画したものだった。便利になったけど観始めると止まらない。そんな今日この頃。
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