映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」感想(感動は無いが退屈もしない2時間)

さっそく観てきた。感想は「感動も退屈もない」というのが率直なところ。全体としてはサッチャーの今(アルツハイマー)と過去(思い出)を行き来するような作り。印象としては英国とサッチャーを美化している雰囲気の映画。
サッチャーといえば独自の経済政策(サッチャリズム)が有名で、これは電話やガスなど国有企業の民営化、所得税と法人税の引き下げ、消費税の引き上げが行われたわけで、これらは当然に賛否両論ある。それをこの映画ではサッチャーの美化により、政策も正しかったのではないかという錯覚もさせている。
例えば、日本で言えば中曽根康弘が同じような主張で国鉄を民営化したり、小泉純一郎が郵政を民営化したりした訳で、それらに賛否両論があるのは当然の結果。個人的にはこれら民営化で得をしたのは一部の財界人と当時の与党政治化だけかとも自分は思うけど、良いことをしたと言う人もきっといる。
それを映画によって政治家の美化によって政策も正しかったかのような錯覚を与えてしまうのはどうだろう。日本で「中曽根康弘・小泉純一郎、鉄の男」というタイトルで2人を美化した映画を作ったら、多くの人が反感を持つと思う。

↑サッチャー本人とメリル・ストリープ。
そうは言っても、この映画の良いところはメリル・ストリープだと思う。映画が始まってこのメリル・ストリープが出てきた時は「あ、サッチャーだ」と思ってしまった。上の写真のように見比べてしまうと当然別人だと言うことはわかるけど、映画だとそれを感じない。10年以上前にはニュースなどにちょくちょく出てたサッチャーの記憶が薄れてしまったのか、メリル・ストリープが上手いのか、映画の作りがそうさせているのか。そんな錯覚を楽しみたい人には良い映画だと思う。

↑サッチャーとフォークランド紛争。