映画「ザ・パシフィック」の感想(戦争映画はそれ自体がプロバカンダ)


ツタヤでレンタル開始になったのでさっそく観ました。DVD5枚で全10話、約50分×10なので全部で8時間くらいかな。点数は60点で星3つ。
これを観て思ったのは、「多くの戦争映画はそれ自体がプロバカンダなんだな」ということ。
すべての戦争映画がそうというわけではないが、例えばハリウッド映画だと「自由と平和のために自分たちはこんなにも犠牲を払いながらも正義を行った」という結論がまずあって、その結論に向けてストーリーが進んでいくというパターン。で、自分たちが正義であるということを演出するために戦う相手は悪である必要があって、その悪を演出するのが女子供を殺すとかそういう分かりやすい演出があったりする。で、この映画もやっぱりその路線からは出てはいないわけで、そういう意味では想定の範囲内だったわけ。
個人的には太平洋戦争モノはある時期に本をいっぱい読んだ時期もあって、この映画にはだいぶ期待もしていたけど、やっぱりアメリカのドラマだったという感想だったわけで、例えば海兵隊兵士の残虐行為などはそこそこに出てくるがそこはやはりアメリカ映画らしく、「そこそこの行為」なわけ。実際には海兵隊員の捕虜殺害行為などはかなり有名な話で、ちょっと調べれば(全てが本当ではないとしても)かなり驚くほどの残虐行為があったわけ(例えばこれとか)で他にもネットで検索すればびっくりするような文章も出てくるし、いろいろな本や証言などもあるからおおむね本当の話しだと思う。つまり米兵の残虐行為は実際の記録よりずっとマイルドに描いて日本兵の残虐行為は原作にないこともやっている(さすがにあの沖縄の場面はびっくり。さすがにフィクション)
そんな風に「米兵によるそこそこな残虐行為」はあったものの大筋としては正義の為に戦ったというストーリーは進行していくのがこの映画なわけで。そう考えるとやっぱりこの映画はアメリカ人が観るアメリカ映画であって、「小さな反省点はあるものの」おおかた我々は正義を行使したヒーローで自分の国と歴史に自信を持てる気持ちの良い映画。というのをベースとしてメインのストーリーとしては「激しい戦いで傷付いていく兵士の心と平和の大切さ」
というのを訴える映画になるんじゃないかと思った。


↑同じような映画で「バンドオブブラザーズ」という映画があって、この映画はヨーロッパ戦線でのアメリカ軍を描いているわけで、
この「ザ・パシフィック」は「バンドオブブラザーズ」をマネて太平洋戦争を舞台に作られた訳だから当然似ている作りになっているが、
比較してみるとこの「バンドオブブラザーズ」は「ヨーロッパで同じ白人同士で何で戦わなければならないんだ」というメッセージ性があるのに対して
この「ザ・パシフィック」は日本人を当然のように差別していて、それこそジャップは人間ではないくらいな勢いだから前述したような残虐行為も起こったのかななんて思った。

↑全然話しは変わるけど、やっぱり戦争映画で良く出来てると思うのはこの「戦争のはらわた」
サム・ペキンパー監督のこの荒々しさとジェームス・コバーンのカッコ良さ。この黄金コンビはもう2度と作られることは無いわけで
男の戦場をむんむん漂わせるすっごい映画。WW2の映画好きでこれを観て無い人は居ないと思うけど、もし観てなかったら特におすすめ。