かつて日本にはサンカと呼ばれる山の民(非定住民族)が居た。1950年代まで居た彼らはどこから来てどこへ行ってしまったのか。個人的に興味があったのでこの本を買ってみた。
図書館でサンカの事は読んだことがある。たしか民俗学の本に載っていたと思うが、少し古い文章でだいぶ読みにくかった印象がある。しかし同時にこの民族についての真実味を感じて、このサンカについてはロマンを感じていた。
図書館の本と比べるとこの本はだいぶわかりやすい。彼らの起源は日本民族の起源までさかのぼるものなのか、それとも飢饉から逃げた者なのか、貧しき小作農家が農村を捨てた者なのか、諸説はいろいろあるが、この本はこのことについても考察している。なぜ彼らは独自の隠語や文字を使ったのか、そしていつどのように姿を消したのか。今も多くの謎を残している。
この本に限らず、サンカについては多くの研究や文献がある。それでもまだ謎が多い。だから大いにロマンを掻き立てられる。
ふと思うのは、なぜ多くの現代人がサンカについてロマンを感じるのか。それは世を捨て山で生きる。国や村とは違う、別の集団での生活。そういうものに多くの人が憧れを持っているからではないだろうか。働けど働けど厳しく貧しい生活、息苦しく神経をすり減らす世間。それならいっそ山で暮らした方が・・・そんな空想の世界に入れる一冊。そんなことを思った今日この頃。
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